ライターズブルース

読むことと、書くこと

2023-05-01から1ヶ月間の記事一覧

脱走の記憶

『「本が売れない」というけれど』/永江朗/ポプラ新書/2014年刊 引越しに向けてなるべく本を減らそうと思ったときに、比較的早く整理が進んだのは新書だ。文庫本や単行本と比べると、新書には時流がより濃く反映される傾向がある。少なくとも私が持ってい…

【備考】Amazonリンクの掲載について

久しぶりに日本の出版事情について考えていたら気分が暗くなったので、バラを買ってみました。 先週から各記事の末尾にAmazonリンクを貼っています。記事を閲覧された方がリンクからAmazonでお買い物をすると、売上の数%が「協力報酬」として私に支払われる…

弟子時代の遺物(その二)

『サミング・アップ』/モーム著/行方昭夫訳/岩波文庫 いま私の手元にあるサマセット・モームの文庫本はすべてF先生宅から貰い受けたものであることは前回に書いた。書いた後で思い出したことがあり、思い出した後で考えたことがある。 「モームだけでい…

弟子時代の遺物(その一)

『お菓子と麦酒』/サマセット・モーム/厨川圭子訳/角川文庫/平成20年刊 引越しから半年以上経ってようやく本の収納場所を定めて、ジャンルや判型、作家ごとにざっくり整理してみると、サマセット・モームの文庫本が十冊くらいある。全体量と比べれば好き…

贅沢と極道

『私の作ったお惣菜』/宇野千代/集英社文庫/1994年刊 海の近くに住んだら、いつでも海を見ながらビールが飲めるなあ。そんな思い付きでの引越しだったから、歩いて海に出られる以外の条件はほとんど全部妥協した。最大の難点は本棚を置くスペースがないこ…