ライターズブルース

読むことと、書くこと

【備考】Amazonリンクの掲載について

久しぶりに日本の出版事情について考えていたら気分が暗くなったので、バラを買ってみました。

 先週から各記事の末尾にAmazonリンクを貼っています。記事を閲覧された方がリンクからAmazonでお買い物をすると、売上の数%が「協力報酬」として私に支払われる仕組み(らしい)です。

 主な動機は好奇心です。アフィリエイトというweb広告の仕組みは以前から聞いてはいましたが、やったことはなかったので、どんなものかと思いまして。今のところ収益化は目的でも目標でもありません。ブログの運営費用(「はてなブログPro」の年間利用料とドメイン維持費、一ヶ月あたり1,000円くらいか)の足しになれば嬉しいけど、ならなくても、ならないとわかればそれでよし、といったところです。

Amazonアソシエイト・プログラムの詳細についてはこちらをご参照ください。)

 以下は余談。Amazonの進出、台頭によって街の書店(いわゆるリアル書店)が閉店に追い込まれた、という話は2000年代から聞こえていました。でも、街の書店が本を注文してもマトモに相手にされないという現象は1970年代から一般的だったようです。以下は『ぼくは本屋のおやじさん』(早川義夫晶文社/1982年刊)からの引用です。

お客さんが発売前に注文を出す。うちで一冊確実に売れるとわかっていても、発売日と同時には入ってこない。いくら実績がなくとも、いくら新潮社にうちが貢献していなくとも、一冊注文を出したのだから寄越せばいいじゃないかと誰でも思うでしょう。まともに考えればおかしいと思う。(中略)くればいいけれど、くるかこないのか当てもないわけだから、書店が、大書店に本を買いに行くことになる。こんなバカなことがあるだろうか。

 こんな状態が少なくとも二十年以上は放置されていたのだから、欲しい本がある人がAmazonで注文しようと思うのは当たり前だと思います。Amazonにできること(一冊の本の注文を受けて、それを確実に届けること)が、なぜ日本の書店や出版社や取次店にはできなかったんだろう、と思う。

 思い出すのは「もしドラ」(『もし高校野球の女子マネージャーがドラッガーの「マネジメント」を読んだら』/岩崎夏海ダイヤモンド社/2009年刊)です。手元にないので正確な引用ではありませんが、経営学の祖・ドラッガーはこんなことを言っているらしいです、「企業の使命は顧客を満足させることだ。だから、誰が客なのか、客を定義することは経営者にとって最初にして最重要の課題である」。 

 日本の出版業界でAmazonの「独り勝ち」といわれる状態が続いているのは、いち企業として本を読みたいと思う人を満足させるという使命を実行しているからだろうと思います。「図書館でベストセラーを貸し出しされると、儲からない」とか主張する一部の出版社(と一部の著者)にとって、客は誰なんだろうか。誰なんでしょうね。