ライターズブルース

読むことと、書くこと

2023-12-01から1ヶ月間の記事一覧

(お知らせとあいさつ)

諸事情により今週の「捨てられない本」はお休みします。諸事情というか、エリック・ホッファー『波止場日記』と武田泰淳『富士』で迷って決められなかったのが理由。あと、年末だから。 引越しを機に収納しきれない本を手放したのがきっかけで始めたブログで…

無邪気な大人たちへ

『さむがりやのサンタ』/レイモンド・ブリッグズ/訳・すがはらひろくに/福音館書店/1974年刊 何歳までサンタクロースを信じていたか、みたいな話になると、どうも困ってしまう。私には、サンタクロースが架空の人物だと知ってショックを受けた覚えがない…

小説の定義について

『雑文集』/村上春樹/新潮文庫/平成27年刊 フリーライターをしていた頃、私の書いたものを読んで「小説を書いたら」と言う人がたまにいた。そういう人はおそらく小説という形式を文章表現の最上位と捉えていて、「あなたにはそれが書けるよ」という褒め言…

昔の話と、もっと昔の話

『波うつ土地・芻狗』/富岡多惠子/講談社文芸文庫/1988年刊 本を読むことはどこまでも個人的な行為だから、自分以外の誰かに本を勧めることは難しい。その逆も然りで、誰かに勧められたものを読むときも、過剰な期待は相手にも自分にもしないようにしてい…

意味とモラル

『夜と霧 ドイツ強制収容所の体験記録』/ヴィクトール・E・フランクル/霜山徳爾訳/みすず書房/1961年刊 『夜と霧 新版』/ヴィクトール・E・フランクル/池田香代子訳/みすず書房/2002年刊 新型コロナウィルス感染症が蔓延して、政府が初めて緊急事…